2017年の世界の個人向け高級品市場は、中国国内における安定した消費と欧州における旅行・消費意欲の高まりを背景にして2~4%の伸びを示し、2,540~2,590億ユーロに達する見込み

NEWS RELEASE

2017年の高級品市場は成長軌道に戻りつつあります。中国の購買意欲が国内と海外で確実に持ち直し、欧州でも消費意欲が高まったことを受けて、2017年の世界の個人向け高級品市場は為替変動による影響を排除した実質市場成長率で2~4%の伸びを示し、2,540~2,590億ユーロに達する見込みです。勝者と敗者の格差が今後も広がり続けるため、高級ブランド各社は自社の戦略を見直し、「ミレニアル世代の感覚」に合わせる必要があります。それが、2020年までに市場規模を2,900億ユーロへと押し上げる大きな推進力となるでしょう。

以上は、高級品業界向けに世界有数のコンサルティング・サービスを提供しているベイン・アンド・カンパニーがイタリアの高級ブランドを統括するアルタガンマ財団と共同で執筆し、公表した『世界の高級品市場レポート(2017年春季版)』の主な調査結果です。

本調査の主執筆者であるベインのパートナー、クラウディア・ダルピツィオ(Claudia D'Arpizio)は次のように述べています。「これまでのところ、2017年は見通しが明るいとf思われています。2016年は厳しかったので、2017年第1四半期の結果を受けて高級品業界は一息ついています。第2四半期から年度末にかけても、中国における消費の継続的な回復、あるいは欧州における消費・観光の前向きな見通しなどの要因が市場全体の成長を後押しするでしょう」

高級品市場における各地の動向

日本は、動きの緩やかな成熟市場で、引き続き安全な高級品市場です。旅行者数の減少分を国内消費が支え、年内の成長は横ばいとなるでしょう。

大中華圏も持ち直しており、消費者は国内での高級品購入に対する強い嗜好を示し、為替変動による影響を排除した実質市場成長率は6~8%と予測されます。ただし、中国人旅行者が今後も、海外での高級品購入のかなりの部分を占めるでしょう。

その他のアジア各国については、依然として予断を許さない状況です。ベインでは、「その他アジア」の市場は、為替変動による影響を排除した実質市場成長率は対前年比で2~4%縮小すると考えています。香港やマカオ、シンガポールは回復に向かいます。しかし台湾や東南アジアでは、国内の政治的混乱の影響を受け、特に中国や韓国からの旅行者数の減少に直面します。

米州では、米国の高級品市場は引き続き縮小します。ドル高や今も続く政治的不透明さ、不振にあえぐデパート各社などの問題が絡み合い、2017年の見通しは平坦ではありません。ラテンアメリカはある程度の国内消費に支えられ、カナダは引き続き堅調ですがいつ鈍化してもおかしくない状況です。米州全体では、為替変動による影響を排除した実質市場成長率は2%減~0%と予測しています。

欧州は2016年の旅行者数落ち込みからの回復途上にあり、国内の消費意欲に勢いが戻りつつあります。明るい材料として際立っているのは、安全な行き先と認識されているスペイン、そして昨年のこの時期よりもポンドが大きく値を下げている英国です。ベインでは、為替変動による影響を排除した欧州の実質市場成長率は7~9%と予測しています。

世界のその他の地域については横ばいか、あるいは成長しても2%程度の微増(為替変動による影響を排除した実質市場成長率)になると見ています。中東はドバイを除き低迷が続くでしょう。

2017年に着目すべき5つの論点

ベインの調査によって、今後の個人向け高級品市場を後押しする5つの論点、すなわち1. 米国市場の現状、2. 中国の国内と海外(ほとんどが欧州)での購買意欲の高まり、3. ますます高まるデジタルの影響、4. 広がり続ける勝者と敗者の格差、5. ミレニアル世代の消費者という新たな動きが明らかになっています。

米国市場の現状:米国市場は依然として最大の個人向け高級品市場ではありますが、成長を阻害するさまざまな要因に直面しています。旅行者数の減少や、依然として先の見えない政治情勢、デパート各社の見通しの厳しさなどが組み合わさり、高級品市場にとって最悪の状況になっています。これに対処するには、ロイヤルティの向上や国内消費の活性化に的を絞った完璧な戦略を練り上げ、実行することが求められます。

中国市場の見通し:中国では、活況を呈する国内市場にとって価格差の縮小が追い風となり、一方で欧州は、中国人旅行者を魅了する行き先として恩恵を受けています。

デジタル化とディスカウントが引き続き優勢:デジタルトランスフォーメーションの勢いは続き、高級品業界は新たな局面を迎えます。ベインは、今後数年間はオンライン販売が最も成長する主要なチャネルになり、それにディスカウントストアが続くと予測しています。店舗の売場面積は限界に近付きつつあるのかもしれませんが、高級品ブランドの実際の活動の場は直営店となります。

勝者と敗者の格差が拡大:ベインが「新たな標準」の時代の特徴として調査で明らかにした「格差が広がる傾向」が2017年の最初の数ヶ月間でより鮮明になり、勝者と敗者の格差が広がり続けています。

「ミレニアル世代の感覚」:次の10年間に成功するためには、高級ブランド各社は顧客に焦点を合わせ直して彼らのニーズをより適切に予測し、それを満たす必要があります。2025年には世界の個人向け高級品市場の45%をミレニアル世代やZ世代が占めるようになるため、若い世代が鍵となります。さらに、行動分析を行う際には「ミレニアル世代の感覚」を議論するのが適切です。この感覚はすべての世代にますます浸透しつつあり、単なる購買層に関する事象というよりはむしろ心理学的な事象と言えます。

早急に取り組むべき課題

2020年を見据えると、ベインは3~4%の緩やかな成長(為替変動による影響を排除した実質市場成長率)を予測しており、市場規模は2,800~2,900億ユーロに達すると見ています。

レポートの共同執筆者であるベインのパートナー、フェデリカ・レバート(Federica Levato)は次のように述べています。「高級ブランド各社は、常に顧客のことを念頭に置いてミレニアル世代の感覚に着目する必要があります。今の時代に高級品を買うということは、単にお店に出向くことではありません。それは、実際に購入するまでにかなりの時間を使い、さまざまな接点を通してブランドに接する一連の行程になっています」

高級ブランド各社が先頭を走り続け、可能性を引き出すためには、ベインは以下のことが必要だと考えています。

  • 1対1の関係を構築して地場の顧客を育てる
  • 製品やサービス、メッセージを個人に合わせてアップグレードする
  • 総合的な販売手法を開発して顧客と関与する一連の行程を一から見直す
  • 感覚に訴えかける会話や体験を介して、顧客にブランドの世界観を体感してもらう
  • 顧客と関与する行程のすべての接点に熟練し、継続的な全方位エンゲージメント計画を作成する

ベイン・アンド・カンパニーの「世界の高級品市場レポート」について

ベイン・アンド・カンパニーは、イタリアの高級ブランドを統括するアルタガンマ財団と共同で、全世界約270の高級品企業やブランドに関する市場や財務実績の分析を行っています。「高級品世界市場観測」として知られる様々な企業のデータベースは、世界中の高級品業界にとって深い調査に基づいた一流の情報源となっています。ベイン・アンド・カンパニーは、1999年以降「世界の高級品市場レポート」を年次発行しています。

ベイン・アンド・カンパニーについて

1973年米国ボストンに創設。現在世界36カ国に55拠点のネットワークを展開し、約6,000名を擁する、世界有数の戦略コンサルティングファームです。クライアントとの共同プロジェクトを通じた結果主義へのこだわりをコンサルティングの信条としており、結果主義の実現のために高度なグローバル・チームワーク・カルチャーを特徴としています。1982年に設立された東京オフィスも、国内およびグローバル企業の最重要経営課題の解決と結果の実現のために邁進しており、収益のフルポテンシャル、事業再建、M&A戦略等の分野で高いシェアを有しています。

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